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2014/01/10

「臓器移植についての独り言」について南先生がご返事を出されました。

山本 舜一様、

平成26年1月10日

「臓器移植に対するひとりごと」を読ませていただきました。その内容はまさしく的を射たものであり、長く移植医療の啓蒙活動に取り組む私にとって大切な事を気づかせてもらえたお言葉でした。山本様の「ひとり言」を一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。もしお許しがあれば「NPO法人ハートtoハート・ジャパン」のホームページに掲載させていただきたいと思います。HP: heart2heart-npo.jp

私が30年間ドイツで医療を行ってくる中で、脳死からの臓器移植をごく日常の医療として体験してきました。しかし、日本に帰国して遅々として進まない臓器移植の現状を見たときに思ったことは、国民の中に「脳死」はもとより「人の死」と言った大切な議論がほとんどなされていない事実した。そこで2005年に臓器移植の啓蒙のための会「NPO法人ハートtoハート・ジャパン」を有志と共に立ち上げました。

私が臓器移植への関心を抱くようになったのは医師になった一年目(1974年)の事でした。当時、日本では脳死移植の一例目が1968年に行われて以来、脳死と言うことさえ口にするのがタブーとされたいた頃でした。日本では脳死者からの臓器提供がなかったために家族の中から臓器提供者を探し、臓器を必要とされる患者さんに移植をする生体移植のみが行われていました。そのほとんどは人間の身体に二つある腎臓であり、また、ドナーとなる人は患者さんの母親または兄弟です。
脳死移植が遅々として進まない日本ではいまだに生体移植が主流に行われ、その適応は腎臓のみではなく、肝臓、肺へと広がっています。脳死者からのドナー提供は年間40名ほどですが、生体移植はその10倍にも及びます。
生体移植の問題点は次の二つに集約されます:
1.   健常者の体にメスを入れ臓器を取り出すという手術には危険が伴います。すなわち手術を受けたドナーに術後の合併症がおこったり、ドナーとなった方が同じ病気となり移植を必要となったりする事もあります
2. 家族内でドナーになることを決心する人には“無償の愛”という表向きの気持ちがある半面、自分がドナーにならなければならないという大きな“心の重圧”が伸しかかかっている場合が少なからずにあります。

山本様のご指摘のように、脳死となり使われる臓器があるにもかかわらずただ灰に化すのが「神への冒瀆」であるとすれば、生体移植で人が健康な人間の体にメスを入れ臓器を取り出す行為も同等であるといえるでしょう。

心臓移植を待つ患者さんは脳死者からの臓器提供なしには助かる道はありません。数年前の臓器移植法の改正でドナーカード無しでも家族の同意(15歳以下を含めて)で臓器提供が可能になりましたが、心臓移植の待機期間はいまだに平均7年と非常に長い。大半の患者さんは人工心臓を装着しての待機を余儀なくされますが、その耐久性は2~3年であるためにドナーの心臓に出会うまでに命を落とすことも少なくありません。そのためにやむなく渡航移植を選択する患者さんや家族が絶えません。

日本で脳死に対する理解が広がり臓器移植が普及することで、一日も早く「助かる命が助けられる国」となることを期待いたします。

 

南 和友
「NPO法人ハートtoハート・ジャパン」副理事長

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